従業員の少ない中小企業にとって人材に頼るのは非常に危険なことで、その人材がいなくなったらどうする?いや、むしろ人材の入れ替わりは人間でいう新陳代謝ぐらいに考えた方がよい。特に優秀な人材はどの会社でも求められるし、また起業したいと考える人が多くいても当たり前で、もしあなたの会社に自身のスキル磨きをしながら働き続けてくれる人がいたなら、それは「ラッキー」以外の何ものでもないと思う。人が辞めたくない会社にするための福利厚生の充実、給与、休暇、いくら会社が頑張っても、成長して羽ばたきたくなる社員を縛ることはできない。
優秀な人材は会社を辞めていく、そう思っていれば間違いない。だから、いつ人に辞められても慌てない組織作り、業務改善が重要であるが、中小企業にとっても社会構造の変化、DX化の加速が人材に頼らない会社作りを後押ししてくれるのも今という時代の流れである。
では逆説的に、辞めていかない人は優秀な人材ではないのか?
一概にそうとは言えないが、辞めない理由の一番は「年齢」だと思われる。20~30代は若く体力もあり、人生に夢や希望を持って転職を考えるのは当然のことだし、中小企業ならなおのことビジネスモデルとなる会社の創業者や社長がすぐ手の届く場所に存在しているのだから、自分もこんな風に社長になりたいという熱が生じれば独立の背中を押すかもしれない。けれども40~50歳ぐらいになると社会的にも家庭においても責任年齢となり、転職はリスキーな人生の選択となる場合もあり動かない方を選ぶようになる。
高齢化社会に突入した日本、中小企業でも当然のごとく社員の高齢化は進んでいる。我々建設業では、事務職と現場職に分かれるが、どちらにしても50歳を過ぎた人たちが年齢の分だけ磨き上げたスキルに固執するあまり社会構造の変化を受け入れず、技術革新の進展からこぼれ落ちた人の仕事は陳腐化してしまう。
50歳以上の人にこそ求められるのは、
この先のさらなる社会変化に伴い自身の仕事を高度化できる人
電話とFAXがいまだに当たり前で、レガシー産業の代表格といわれる「建設業」のDX化はなかなかに進まなかったけれど、新型コロナが追い風?となり高齢者もzoomで会議できるようになったり、現場からうるさくしてくれるお陰でwebでの安全書類化も進んでいる。高齢者ほどいやだ、分からないからと避けて通ってきた道に無理やり押し出されたけれど、誰でもやれば便利になるのがDX化、先にやったもん勝ちである。
適切な人材を見出せる人
人材は育成しなくてもよい、人は勝手に育つ。ただ、その仕事に適材かどうかを見極めるには多少なりとも経験が味方するのではないだろうか。特に中小零細企業においては社員の人数に余裕はないはずで、人材育成など物理的に無理である。育てる時間が無いのだから効率よく選別した人間に仕事をさせれば、あとは自分で育っていく。
リアルな経験を持ったプロフェッショナルな人
直接的であれ間接的であれ、時給換算ではない仕事で企業に利益をもたらすような仕事ができる人。AIがどれだけ進化しても、リアルな経験で磨かれたセンスを持っていることは有利に働くと思う。