
この間、自社物件のあるマンションの拡大理事会っていうのに出てみたんだけど



おや、珍しく笑
で、拡大理事会って、定例の理事会とは違うんですか



今回のは、大規模修繕工事の施工会社を呼んでのプレゼンとヒアリングだから、理事だけじゃなくて他の住民の意見も聞きたいってことでの拡大理事会。



なるほど



プレゼンするのは、相見積りですでに絞られた施工業者2社、このどちらかに決まるっていうので、出席してプレゼン聞いてみようかと



ところで、総戸数はどのくらいのマンションなんですか?



10階建てで1階はエントランスと駐車場・駐輪場、総戸数35戸の小規模マンションだね。



駅近のその辺りは小規模マンションが多く建ってますね。



小規模とか大規模とか、明確な定義があるわけじゃないようですが、SUUMOさんのサイトでは以下のように分けていました。
■小規模マンション/50戸以下 ■中規模マンション/50個超100戸以下 ■大規模マンション/100戸超



一般的には小規模マンションの方が、修繕費は割高になると思う



そうなんですね



では、そのプレゼンとヒアリングで業者決定されるなら、住民の方たちの関心も高いのでしょうね?



それが意外、こんなものか? 理事を含めても10戸ぐらいの住人しか出席してなくて、あと管理会社クラシテの担当者と「さらかん」が一人。



住民の出席は3割に満たない…



で、その「さらかん」って何ですか?



工事の「管理者」と「監理者」の違いなんだけど、読みが一緒だから部首で分けて、前者を「竹かん(たけかん)」後者を「皿かん(さらかん)」って呼んで区別してるんだ。



皿かん=監理者は、施主目線つまり今回の場合だと住民目線で、見積や工程などをチェックするんだけど、これがまた怪しかったりする。



チェックする人も怪しかったりするって…..不適切にもほどがあるじゃないですか!



あるあるの話だよ、住民のほとんどは素人だから、管理会社と設計コンサルで工事会社なんかどうにでも選定できる。



じゃあ、工事会社もつるんでる場合もあったり?



もちろん、管理会社・設計コンサル・工事会社の「三位一体」の方がむしろ業界の常識かもしれない。



え…..



国土交通省から注意喚起のお達しが出ているよ…..



確かに、国土交通省から「設計コンサルタントを活用したマンション大規模修繕工事の発注等の相談窓口の周知について(通知)」というのが出ていますね、抜粋すると
1.現状の課題
マンションの大規模修繕工事等において、診断、設計、工事監理等を担う設計コンサルタントが技術資料を作成し、管理組合の意思決定をサポートする、いわゆる「設計監理方式」は、適切な情報を基に透明な形で施工会社の選定を進めていくためにも有効であるとされています。
しかしながら、別紙1の通り、発注者たる管理組合の利益と相反する立場に立つ設計コンサルタントの存在が指摘されています。
別紙1
<指摘されている事例>
・ 最も安価な見積金額を提示したコンサルタントに業務を依頼したが、実際に調査診断・設計等を行っていたのは同コンサルタントの職員ではなく、施工会社の社員であったことが発覚した。コンサルタント(実際には施工会社の社員)の施工会社選定支援により同施工会社が内定していたが、発覚が契約前だったため、契約は見送られた。なお、同コンサルタントのパンフレットには技術者が多数所属していると書かれていたが、実質的には技術者でない社長と事務員一人だけの会社であった。
・ 設計会社が、施工会社の候補5社のうち特定の1社の見積金額が低くなるよう、同社にだけ少ない数量の工事内容を伝え、当該1社が施工会社として内定したが、契約前に当該事実が発覚したため、管理組合が同設計会社に説明を求めると、当該設計会社は業務の辞退を申し出た。このため、別の設計事務所と契約し直したところ、辞退した設計会社の作成していた工事項目や仕様書に多数の問題点が発覚し、全ての書類を作り直すこととなった。
・ 一部のコンサルタントが、自社にバックマージンを支払う施工会社が受注できるように不適切な工作を行い、割高な工事費や、過剰な工事項目・仕様の設定等に基づく発注等を誘導するため、格安のコンサルタント料金で受託し、結果として、管理組合に経済的な損失を及ぼす事態が発生している。



で、当然だけど、管理会社や設計コンサル側は工事会社からキックバック(バックマージン)を受け取る。バックマージンの相場は工事費の10~20%と言われているけれど…..



そのバックマージンは、工事代金に上乗せしているってことでしょ



そう、管理会社、設計コンサル、工事会社、これらプロの「三位一体」から素人住民の積立金が食われてる。



つい最近も、国土交通省からガイドラインの改訂版が出ました。
マンションにおける外部管理者方式等に関するガイドライン 2024年6月改定 ー国土交通省ー



でも今回、2社がプレゼンを行ったということは、公募したんですよね?



公募といっても、出来レースの場合が多々ある



あ~それ



私の住むマンションでも前回の大規模修繕のときに、理事会の意向で管理会社の推薦する工事会社以外に公募もしたんですよ。



応募する会社へ突き付ける条件厳しかっただろ



そうなんですよ!



資本金1億円以上、直近3期のマンション大規模修繕工事の受注高が〇〇億円以上とか、大規模修繕工事の実績が何棟以上とか、めちゃめちゃハードル高くて、結局のところ管理会社推薦の工事会社に決まるしかなかったんですよね。



それ、あるある



今回この拡大理事会っていうのに出席してみても、やっぱり・・・・なんだよ



どこが?何がですか?



相見積りで選んだ2社の見積り金額、約1,000万円の差があるのに、
皿かんが高い方の業者に決まるように誘導している感



総戸数35戸のマンションでしたよね



そうだよ、35戸の全体工事見積り金額で、ざっくり一方の見積りは4,700万円、もう一方の見積りは5,700万円、その差額1,000万円。



一戸あたり単純計算で30万円近い、大きいですよ



5,700万円に対して1,000万円は割合でみると



17.5%



バックマージンとしたら、適正な数字出てるね~



それ不適正です!



マンションの大規模修繕工事について、ネット上でちょっと検索してみましたが、闇ネタだらけです。
参考までに、処分を受けた管理業者の一覧を貼ります。 ーマンションNPOさんのサイトよりー



全ては、管理会社主導になっているマンション管理に問題があるんだけど



国交省もガイドライン出したりしてます
マンションにおける外部管理者方式等に関するガイドラインの策定について ~外部管理者方式等の適正な運営に向けた留意事項を整理しました~ -国土交通省-



結局、無関心な住民側にも問題があるってことじゃないか



その通りなんですが、建設業界を知らない人にとっては関心を持つにも至らないと思うのですが。



だから知らない業界のことは、その業界のプロに任せればよいと思うのが心理です。



でも商売としてはそこが美味しい部分でもあって、プロの知識が金になる。知らないことが自分たちの損になり、相手の益になる。



知識にお金を払うのは納得ですが、その相場はどうなんでしょうか?それと管理組合の中身に精通している管理会社が「三位一体」の中にいるって、インサイダー取引じゃないですか。



業界の内輪話としては、総費用のうち実際に掛かる工事費は半分程度だと言われている。残りは管理会社やコンサルに流れているようだ。



ヒエー



どのぐらいのお金が悪徳業者に食われているのか分かりませんが、そもそも日本のマンション戸数がいくつなのか
2023年末時点の日本のマンションストック総数は704.3万戸 ー国土交通省ー



ざっくりですが、現在704万戸あるマンションが、12年に一回の大規模修繕工事をすると1年に59万戸、一戸あたり100万円の修繕積立金としたら5,900億円市場です!



矢野経済研究所というところのデータによると、マンションの共用部修繕工事は2027年に7,444億円に到達する見込みだとのことです。



プロにしてみれば実に美味しい市場だよ、相手はド素人だし



積立金足りないから来月から値上げしまーすって管理会社から言われたら、はいはいって払ってますからね住民は。



その内のどのぐらいがバックマージン、闇金に流れていってるか



それ、腹立つなぁ



そもそも一軒家だったら自分の家は自分で管理しているだろ、修繕が必要になったら、自分でできることは自分で、できないところだけ業者にって。



確かにそうですね、それがマンションとなると管理会社に丸投げが当たり前と思っている。まぁ、それが良くてマンションを購入した人もいるかもしれませんが。



そう誘導されているんだよ。もっと住民側も自分の家は自分で守るという意識を持たないと



自分の家は自分で管理する、原点に戻れですね



管理会社も、設計コンサルも信用できない、工事会社もつるんだプロの「三位一体」攻撃を受けているマンション住民にとって、一体この問題は誰に相談すれば良いのでしょうか?



僕



灯台もと暗し?



笑 つまり僕のような考えを持っている人間ね



僕は、ビルやマンションの工事を実際に施工してきた職人であり、誰よりも多く汗を流してきたと思っている。その知識や経験があっても、経営者になったら負けないためにさらに要なことがあった



それは何ですか



僕たち下請け会社が、元請けや一次会社と対等に渡り合うために、僕は一級建築施工管理技士資格を取り、さらに建築関係の人間として不動産のことを知るために宅地建物取引士資格も取った、不動産やに騙されないためにもね。



そうだったんですね



阿部寛のドラゴン桜だよ笑



あぁ…
バカこそ東大へいけ、っていうあれ



バカは一生、だまされて高い金払わされるんだ



確かに



「三位一体」攻撃から自分の家を守るために、マンションでもDIYできるところはすればいいし、素人でもできること、プロでないとできないことを教えてくれるようなコンサル



大規模修繕以前のところから、本当に住民側に立って教えてくれるコンサルが必要です!



僕のこと呼んだ?笑



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