タケシのこの人に会いたい1⃣ バクテリアの働きがひび割れを自己修復!自己治癒!!コンクリート Basilisk(バジリスク)開発『會澤高圧コンクリート社長 會澤祥弘さん』

私の場合、何かを目掛けて行くというよりは、「犬も歩けば棒に当たる」という思考で外をほっつき歩いています。中略 ご縁というものは、自ら出会いを求めることでしか生まれないのです。 -「老舗 イノベーション」會澤祥弘著 より -

SHIBAZAKI

ほっつき歩いてらっしゃる時間を少しだけ私どもに分けて下さらないかなぁと思ってお願いしましたら、面談OKいただけました!

SHIBAZAKI

コンクリート業界の革命児 會澤高圧コンクリート社長會澤祥弘氏、この人にお会いしてきました!

SHIBAZAKI

川村さんは、どうして會澤社長にお会いしたかったんですか?

KAWAMURA

コンクリート業界の中でも異色の存在なんだ。M&Aの嵐、攻めのオープンイノベーション、次から次へと生み出される新事業、そのスピード感、この会社すごいな!社長に会ってみたい!ってずっと思ってた。

SHIBAZAKI

今回は私も同行させていただくので、事前に一番ホットな話題かなと福島RDMセンター2024『結』をリモートで視聴しました。

KAWAMURA

あぁ柴崎さん、嘗めるように画面にへばりついてたっけ笑

SHIBAZAKI

ランチの菓子パンほおばりながら見ていた時に言われました。
「柴崎さん、張り込み中の刑事みたいですね」って笑

SHIBAZAKI

とにかく、全てが興味深く面白い!各プロジェクトの内容や全体構成、何よりネーミングの上手さが引き込むんですよ。リハーサル無しのぶっつけ本番トークや、イベント当日の演出の素人っぽさ(ごめんなさい)までも、脳内で勝手に『結』に結び付けていましたから。

KAWAMURA

それ、人間の脳って自分の思いたい方にもっていくようにできてるから、作為的な要素を省くことでむしろ誘導されたかもね。

SHIBAZAKI

いやいや深読みでしょ、とは言えないか笑

福島RDMセンター2024『結』

SHIBAZAKI

福島RDMセンターは研究開発型生産拠点として福島県浪江町に建設されていますが、このRDMというのは何なのか會澤社長にお聞きしました。

會澤社長:RDMは、Research(研究)・Development(開発)・Manufacturing(生産)の3つで、ホントはもう1つMarketingのMが付いてRDMM(RDM²)なんだ。Manufacturing(生産・量産化)のあとにMarketing(ビジネス・事業)にならなければだめなんだよ。事業にしなければ投資がリターンされないでしょ。日本人からInnovationが起きないのはそこだよね。

KAWAMURA

確かにそこです

津波や原発事故の影響をもろに受けた浜通り地域が「福島イノベーション・コースト構想」を掲げていると知ったのです。その構想は、東日本大震災や原発事故によって失われた地域を回復するため、地域に新たな産業基盤を構築しようとする国家プロジェクトです。中略 未曽有のカタストロフィーを乗り越えようとする彼ら彼女らの思いの強さにほだされた部分もありますが、ビジネスの世界だって明日への確かな羅針盤などどこにも存在しない不透明な時代です。協定調印式では「我々がこれまで培ってきたテクノロジーを社会実装するフィールドとして浪江町を位置づけ、ともに未来をゼロからつくり上げていきたい」と抱負を語りました。※

SHIBAZAKI

以下、所々に會澤社長のご著書「老舗 イノベーション」より抜粋(※印)が入りますが、もの足りないと思われた方は書籍を買ってお読みください^^

コンクリートが勝手に自分で自分の傷を治す‼

KAWAMURA

我々モノリスグループのようにコンクリート床施工を行う者にとって最大の悩みがコンクリートの剥がれ、ひび割れなんだけど

SHIBAZAKI

そのひび割れをバクテリアの働きで自己修復するBasilisk(バジリスク)自己治癒コンクリート!の量産化を世界初に実現、2020年ローンチしたのが會澤高圧コンクリートです。

コンクリートには、乾燥による収縮や、セメントの水和熱のためにひび割れが発生するという性質があります。 これを放置しておくとさらにひび割れが進行し、雨水などがコンクリート内部に深く浸透し、最終的には鉄筋に錆を生じさせ、構造的にも危険な破壊作用を起こしてしまいます。※

「ひび割れをなくす」のではなく、「ひび割れは必ず入る」ことを前提として、小さな傷の段階でかさぶたをつくり、それ以上の劣化因子が入り込まないようにシールドし続けることで、”壊れないコンクリート”が実現するという夢の技術です。※

KAWAMURA

「ひび割れは必ず入る」その通りだよ。材料メーカーの側、我々施工する側どちらに対してもコンクリートに剥がれやひび割れは起こることを前提にしたなら、過度な要求品質がムダとわかるはずだ。

SHIBAZAKI

モノリスは日本床施工技術研究協議会に属して10年経っていますが、協議会でも剥がれやひび割れの研究がなされていると・・・何か画期的なアイデアとか、斬新な試みとか出てないんですか?

KAWAMURA

出たよ一度、実に斬新なのがね

SHIBAZAKI

あら、どのような

KAWAMURA

無理なことをいつまでも追求するのやめたら、って笑 
研究所に研究やめろっていう画期的な意見だったよ。

SHIBAZAKI

自己否定・・・ですか

KAWAMURA

研究を否定しているわけではなく、その研究に意味はあるのか?と自分たちが今やっているテーマを見直し改めるのも大事なことだと思うけど。

SHIBAZAKI

會澤社長のご本の中にもありましたが、経営者にとっても自己否定が重要と、會澤社長はその早さも半端ないです。ご自分で「朝令改」をもじって「朝令改」と笑

SHIBAZAKI

川村さんも負けてないですよ、「朝令改」です。にしたのは私の気遣いですが。

KAWAMURA

ウソ・・・

テクノロジーはどうやってマーケティングするの?

オランダのデルフト工科大学研究チームが考案した自己治癒手法を、バジリスク・コントラクティングBVと會澤高圧コンクリートは2017年独占販売契約を締結、日本のコンクリートへの適用に時間を要したが、2020年世界初の量産化を実現・生産を開始した。※

會澤社長:この自己治癒コンクリートも、ただ機能で売っても売れないんだよね。自己治癒しますよって言ったら、すごいですねで終わるだけなんだよ。だって高いもん買いたくないんだよ。

SHIBAZAKI

やっぱり高いんですね、どのぐらいするのかなって思ってましたけど

會澤社長だってバクテリアに食わせる飯が入ってるんだから、あれだけの微細なコーティングもやってるし。で今そこのコストのところは、いろんなところの素材を使ってグローバルでサプライチェーン作ってやってるから無駄なロジスティクス費用も掛かってるわけで、それを国内でなるべく安く作ろうと考えてやってるんだけど、いずれにしてもコスト掛かるわけさ。

會澤社長:それいいね、いいねってみんな言ってくれるけど、いいねで終わるわけだ。大概そういうもん。だからさっきのそう、テクノロジーはどうやってマーケティングすんの?って話が一番重要になってきてね。だから私もそこにまたもがき苦しむわけです。どうしたもんかなって。でそん時に出てきたのが脱炭素!

會澤社長:脱炭素ってどういうことかって、分かりやすく言ったらコンクリート使わないことだな。

KAWAMURA

自分で自分の首を絞めることに・・・

會澤社長自己否定ですよ、コンクリート会社がコンクリート使わなきゃ。でも子どもに言ったらダメじゃんて言われるんですよ、だって1トンのセメント作るのに1トンのCO2出すんだから。ありえないそんなのね、それが今の世の中のテーマなんだ。そしたら、自己治癒って何?壊れないものがあるじゃないか。はい、アンブレイカブルコンクリート、全く考えてなかったけど、自己治癒やった中での脱炭素との出会いだね。

KAWAMURA

自己否定から新しい発想がうまれる・・・僕は左官屋だけど、もう塗らない!っていう発想で研磨・ポリッシュを推し進めている。

會澤社長:最初にバジリスクのマーケティングやったときは、デカーブナイゼーションファースト(脱炭素第一)っていうのが一番最初のキャッチフレーズだったんですよ。これからはもう壊れるコンクリート出しませんから、今まで出してごめんねっていうスタイル。どんどん自分で自分を殺していくのね、でも俺がやらなきゃ誰かがやるじゃない。やるかやらないかだったらね。

會澤社長:そういう風に吹っ切れて、そっからですよ。自己治癒、自己治癒コンクリートって普及しだして。それで今、脱炭素量ってのを、通常のコンクリートを置き換えるわけだからはっきり理論的に出せるわけ。それをちゃんとねNFT(非代替性トークン)改ざんできないデータボックスに入れておいてね。それを熨斗として一緒につけてお客さんに渡すっていう仕組みを自分たちで開発してね、みんなに使ってもらうっていうのを今やってる。

SHIBAZAKI

2022年には、Basilisk HA自己治癒コンクリート国土交通省NETIS登録ですね。

KAWAMURA

今現在のところで、どのくらいの普及なんだろうか自己治癒コンクリートは

會澤社長:ん、もうすごいよ。今年で10万トンを完全に超えてくるような製品になってきてるし。今ねもう、全国の主要なプレキャストメーカーさん52社がうちのテクノロジー使うってことで協定結んで、同じ脱炭素経営モデルみたいなことでやり始めてる。ようやくですよ、だからもう標準にしたいんですよ。會澤はもう全部自己治癒、そうしたらお客さんとこ行って100円負けますとかみたいな、怪しい話しなくてもいいからね。

KAWAMURA

建設業界ってまだまだNETいくら?が当たり前の業界だし、標準作るってすごいことだ。

ドローンを飛ばせない

SHIBAZAKI

新築物件だけじゃなく既存の老朽化したコンクリートのひび割れにも応用しようと、バジリスクと同じ技術の補修剤をひび割れ箇所に吹付けるために、積載100キロで長時間運行できるドローンの開発をしていらっしゃる。

會澤社長:ドローン始めたのは、施工現場に一緒に立ち会ってみたときにね、すごいギャップを感じたんですよ、ぶっちゃけ、補修剤は最先端のバイオテクノロジーなのに、それを吹き付けるのは、手押し車みたいなのを押してやるんだよね。

KAWAMURA

我々の作業も同じでそういう作業だからよく分かる

會澤社長:我々が扱っているセメント系・コンクリート系のって長大だから、あかんなと思ったんですよこのやり方では。そっからですよ、マシンで、スプレーガン持ってバ---って明確にイメージできたんで、とりあえずマシンが無いから探したけど結局自分で作るしかないなって、その延長線上で今スプレーのみならず空中で清掃するっていうのに行き着いてて、多分やらないけど。

KAWAMURA

僕もそのアイデアの方がいいと思ってた。ラジコンでドローン飛ばして、土間の上に乗らないでやった方がいいって。でもゼネコンさんが無人でやろうとしているのは、田んぼの中に精密機械を放り込むようなこと。スラブの上に精密機械をどうやって運ぶの?終わったあとその機械にへばりついたコンクリートはどこで洗うの?洗い水はどうするの?技術研究所の人はそこまで考えてないんだよね。

會澤社長:技研っていうのはね、考えなくていいんだよ。だって彼らは研究テーマを持って本社からの予算で自分のやりたいことをやってりゃいい、ビジネス産めって言われてないから。で現場はねそんなもん誰も使いたくない笑 だから現場とめちゃ仲が悪い。

KAWAMURA

技研って、そういうもんなんだ

會澤社長:で、ドローンって簡単に言っても、飛ばしてないんだよ、今。

SHIBAZAKI

規制でしょうか?住宅街の上を飛ばせないとかの

會澤社長:そうなんだよ、で、ガーディアンっていう防災というところから始めて、海の上だ、川の上だ、だからそこでビジネスができるかなと。飛べなかったら意味がないんだ。だいたい物運ぶか、何か撮影するしか使えない。もちろんそこの延長上でスプレー売るとかあるんだけど、要するにど頭を飛んでくってやれるのはまだまだ先になってるわけで、でも現実に海は飛ばせる。海と川は繋がってて何千何百の河川をネットワークさえ作れば、要するにウォーターハイウェイだよね。飛べるじゃないですか。アナザーハイウェイ構想、なんでそういう発想になったかって、事業やらなかったら投資してもリターン返ってこないから

會澤社長日本はなぜイノベーション起きないかっつうのは、最後の追っかけるところまでやってない。リサーチとデヴェロップメントでやってる人はいっぱいいるけれど、そのあと量産してみんなが使えるようにしなきゃ、マーケティングとマニファクチャリングっていうのは一体なんだよね

コンクリート3Dプリンタ

KAWAMURA

3Dプリンタ面白い、宿泊施設を国内初“印刷”

SHIBAZAKI

コンクリート3Dプリンタで作ると「印刷物」で「建築物」じゃない

KAWAMURA

「自然・宇宙・アート」との共生をコンセプトにデザインしたグランピング施設、壁や床でしかなかったコンクリートが、下地でしかなかったコンクリートが主役になってる、そんな感じがするよ。

SHIBAZAKI

下地ではなく、コンクリートの印刷物、それぞれの棟にはアイヌ語で名前がつけられていて、もう全てがアート!

老舗・家業を継ぐ

KAWAMURA

會澤社長は、前職が新聞記者で、やっぱりそういうところで学んだ経験が生きてるのかなって、会ったことない人だから勝手な妄想してましたが

會澤社長:ちょっとね、ちょっとはそれあるかもしれないけど、やっぱり実践でやったことのが大きいですよ。新聞ってね、人がやってることを聞いて、ふんふんつって、こう、記事にするでしょ。なんかね、靴の下からなんつうのか足掻いてるみたいな感じ、もぞもぞしてんですよ。てめえでやってる感じがあんまりないのね。だから、自分でやっぱりやりたいなと思って、うん、実家戻ったんだよ。

KAWAMURA

同じコンクリート業界とくくれないぐらいに、會澤社長はだんとつ前を行っている人なんだけど、原点はコンクリートが大好きで、コンクリートの色、ケガ(ひび割れ)もアートなんだって、すごくよく分かる。

SHIBAZAKI

そうですよね!すごく日本人的なんです、美的感覚が。私は、金継ぎっていう伝統の技術を使って大切な器を修繕して使い続ける、その修繕の痕がアートになるっていう、それが頭に浮かんできました。

KAWAMURA

僕、北海道に生まれてたら、こんな面白い会社、入りたかった。凄いなぁ、面白いなぁって思う人を見上げて仕事しないと面白くないから

SHIBAZAKI

すごいと思う人を見上げながら仕事をしていると、意外に自分のポテンシャルが引き出されることになるのかもしれませんね^^

SHIBAZAKI

ファミリーエンタープライズ、家訓で「コンクリート」しかやっちゃいけないの、って會澤社長楽しそうに話してらしたけど、面白いバトンを渡して行ってるから、後に続くのかな。川村さんのように、後に続く人が先人を面白いなぁって見上げながら仕事しているような。

映画製作

SHIBAZAKI

他にも、トライ&エラーと會澤社長ご自分で言われてましたが、ミュージカルや映画製作などもやられてて

KAWAMURA

ミュージカルは「冬のソナタ」、柴崎さん知ってる?

SHIBAZAKI

古い話で何ですが、「君の名は」という現代のアニメではない昔のラジオドラマが実写化された映画、それを彷彿とさせる韓流ドラマのミュージカル版ですね。お互いに好意を持っている男女のすれ違いストーリー、もちろん当時私もハマりました笑 当時冬ソナを知らない女性はいないと・・・
ミュージカル版も見てみたかった。

KAWAMURA

へーえ

SHIBAZAKI

映画 創業者 會澤芳之介人物伝 「草創期」 40分ほどのフィルムでしたがこれはものすごく感動しました! 

KAWAMURA

観て観てって、柴崎さんが絶賛するから観たら・・・これはすごいわ

會澤社長:映像のプロに頼んでね、キャスティングもオーディションしてね、親父に似てるやつを探して、そこまでこだわっての製作。

KAWAMURA

だから、すごいものができてるんだ、全然違う。お金かかってるなって思いました。

SHIBAZAKI

とくに芳之介さんが奥様のフサ子さんとお二人で、鉄板の上で砂とセメントに水を加えて丁寧に練るシーン、そばにはご子息の實さん(會澤社長のお父様)が鏝を持って真似をしながら遊んでいる、私はこのシーンが一番深く記憶に残りました。

會澤社長:あれはね、ホントにあれリアリズムでやったから、鉄板練りって昔みんなやってたんだよ。みんな忘れてるわけですよ。だから、あれはうちの親父が全部指導して、昔こうやってやってたんだよ鉄板練りは、って。やり方そのものがチェック方法なんだ。だけど、映像を取るのも意味があったんですよ。いずれ鉄板練りなんか分かんなくなっちゃうから。

會澤社長:だから、あれは、その、コンクリート業界の人から見たらね、あれ確かにうちの親父もやってたわっていう、アーカイブ的な価値も実はね。だって、うちの親父飯食ってるのコンクリートしかないんだよ、他にはないんだよ。

SHIBAZAKI

他には、ヒューム管の話のところが面白くて笑っちゃいましたが、すごいですよ。ネタバレさせないで、知りたい人には観てもらいましょう。

最後に

SHIBAZAKI

他にもたくさんの事業をされていらっしゃいますが、制限時間いっぱいとなってしまいました。貴重な時間のなか我々左官業界へのアイデアもいただきました。これは風呂敷に包んで持ち帰らせていただきます^^

SHIBAZAKI

會澤社長のご著書にサインもいただきました。お見せしませんが笑

SHIBAZAKI

最後に、コンクリートワインタンクのなかでゆっくりと熟成されたワインをいただきます、會澤社長ありがとうございました。

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